「情を語る」
【2】 日本以外での道徳
さらにもっと深くみてみますと、人は人本然の情の命ずるところの通り行為しておれば決して間違ったことはしませんね。すなわちそれが道徳ですね。道徳とは人本然の情に従うことですね。かほどわかり易いのに、道徳とは何かということを世界で誰も云っていない。日本人も云っていないから、道徳とはこんなものだと云ったのは私が最初かもしれない。が、日本人なら誰でも云えたはずです。
西洋人は道徳が全くわからない。ソクラテスは、自分は道徳とは何か知らないとはっきり云ってます。まだ知らないと云ってるのは余程知ってる方で、カントなんかは、私読んだことありませんが、実践理性批判が道徳だってなこと思ってるんでしょうが、ともかく理性批判というような言葉を使ってる。全然道徳とは何か知らない。
道徳のことを一番詳しく長く書いたのは孔子じゃないかと思う。しかしその孔子の教えも、いろいろ細かく述べてますが、それは単に形式を述べているだけであって、内容を知ろうと思えば「仁」とは何か知らなきゃいけない。ところが孔子は「仁」とは云っていません。
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