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2018.05.27up

横山講演録(4)


対談 小原實晃・横山賢二 第2部 「心の構造と大脳」

【15】 自我(第1の心)の大脳生理

(横山) さて、まずもとへ戻って、この三角形(心の構造図)を説明したいんですが、これをしないことには前へ進めない気がするんです。

(小原) 大脳生理学と結びつけて、この図を使わしてもらいたいんです。

(横山) 実はこの三角形と大脳生理の構造とは相似になるんです。

(小原) なるでしょうね。だから是非、さっきいったところへ使わしてもらいたいんです。その時にこれを「横山ダイアグラム」とよびたいんですね。僕のを「小原ダイアグラム」と呼んでるように。

(横山) ここへ大脳の図を書きまして、心の構造図のどことつながるか図式的に照合していくんです。ダイアグラムと大脳の図と、これで人間の全てを説明しようということです。

(小原) 大脳の解剖図でいいですか。

(横山) 大脳を横から見た図ですね。前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉という、これだけです。

(小原) その図はどうしても必要ですね。どこに後頭葉があるか知らない人もいますしね。アハハハ。それがさっきいった僕の友人で、アメリカ流の大脳生理学をやった人の意見なんですよ。

(横山) 後頭葉を知らない人がいる?

(小原) その人は知らないんです。右脳左脳しかいわないんです。

(横山) 結局、アメリカがいってる右脳左脳というのは、左右の側頭葉のことをいってるんですよね。

(小原) そう、そう。

(横山) 日本人はそれを左右の大脳半球のことと思ってるんじゃないですか。

(小原) 誤解しているんです。

(横山) そこに大きなズレがあるんですね。日本人は大脳全体の左右のことを右脳左脳と思ってるんだけども、アメリカが主に研究の対象にしたのは、岡のいう「機械の座」、つまりコンピュータールームである左右の側頭葉なんですね。

(小原) そうなんですよ。なぜアメリカはそういう主義になったかというとわかりますか。やはりアメリカは後発の新しい国でしょう。いろんな人間が集まってきた国ですから、その国民を支配するためには国民はバカでマヌケでなければいけないんですよ。だからそういう大脳生理をほとんど知っていても、それしかいわなかったんです。

 ともかく国民をロボットにしなければいけなかった。だからアメリカ国民はバカでマヌケといわれてるんじゃないですか、ヨーロッパの人から。そうなってしまったんです。ところが今の日本人もまた、そうなってしまった。団塊の世代からあと。デューイの教育学をやったから。知能指数を計るテストがはやったでしょう。横山さんが書いている通りですよ。そういうことを僕なりにもう1回書きたいんですが。

(横山) だから浅い「第1の心」の自我の世界ですが、この世界は大脳生理では機能的にみて上下半分にわかれる訳です。下の基礎の方が前頭葉、上の浅い方が側頭葉なんです。前頭葉は「第1の心」の自我が宿っている反面、物事を精密にみて万人の批判にたえうる思考をしていくところなんです。科学の基本ですね。

(小原) 大事ですよ、前頭葉は。

(横山) ところが上半分の側頭葉は意味内容よりも、記憶の量と処理速度とを優先する訳です。知識の分量、量的なもの。これがいわゆる「情報」といわれるものですね。だからそれを機械化したコンピューターがどんどん大きくなる。これが大脳では側頭葉です。

 しかし、ヨーロッパは前頭葉の文明なんです。アメリカは前頭葉を一応基礎に使うんだけれども、側頭葉に偏ってるんです。これが進歩だとアメリカ人は思ってるんです。だから記憶の量と処理速度を拡大すれば進歩すると思ってるんだけども、逆に今はその情報量に押しつぶされてるんじゃないですか。だからヨーロッパから見たアメリカはバカだと、刹那的な情報量ばかり追いかけているからバカだと思っている。逆にアメリカ人は俺達は何でも世界一だと思っている。

(小原) それは物量をあれだけ開発していった国だから、ロボットでもできる、あんな文明は。

(横山) ロボットの方へ行ってしまって、人間の方が機械と同じレベルになってしまった。これが一番危いんです。

(小原) しかも戦争がうまいしね、とにかく仕掛け人ですよ。

(横山) だから「能率」というのがアメリカ文明を象徴していますね。

(小原) そうです。記憶の量、速さ、スピード。それは知能指数ですもの。

(横山) それが大間違いで、人間というものが全然わかってない。既に前頭葉を使うヨーロッパは浅い「第1の心」の自我の文明ですが、少なくとも深い「第2の心」の世界へいずれ入ってこないといけない。これは実際どれくらいの時間がかかるかわかりませんが。

しかも最終的には第10識「情の世界」まで来ないことには、思いやりのある調和のとれた安全な社会や文明は実現できないのです。これには更に更に長い時間がかかるでしょう。

(小原) ということは横山さんが何度もいっていることですよね。明確なんです。

(横山) 岡がやっと発見してくれたんです。まあ浅い心、自我の世界は2つに別かれるんですね、基礎にある前頭葉と浅い側頭葉と。それを今一度確認してもらいたいですね。

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