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2013.06.15up

岡潔講演録(6)


「歌で読みとく日本歴史」
第3部 「日本歴史の概要」
岡潔著

録音テープ 1974年

於 奈良自宅

【13】第10識、情の民族

 日本民族は天つ神々に教えられてここまで来た。どこま で来たかっていうと情を自分と無自覚的にだけど思う所まで向上した。情を自分と思ってる人 は、無自覚的にだけど、日本民族しかいない。東洋人は、東洋人の主なものは中国人とか、そ れから仏教に現れる思想のある所ですが、共に知が一番大事だと思っている。だから情を自分 だとは知らない。それから西洋人はどうかっていうとマナ識を自分だと思っている。だから大 脳生理学でも心理学でも心といってるのは全てマナ識です。だからベネディクト夫人が辱と いってるのはマナ識の感覚として。マナ識が辱じる。そしたら人目しか辱じない。日本人の辱 というのはマナ識が辱じるんではない。どの辺の心が辱じるのか一ぺんよく調べなきゃいけな い。

(※解説16)

 これから登場するのが私の知る限り最もスケールの大き い日本歴史であって、一般の方々には想像もつかないものに違いない。何しろ岡が主張する日 本民族30万年の歴史を、例の如く一掴みにしようというのである。

 それというのも岡がいつも持ち出してくる、人類に共通 の心の構造が最終的にわかったからこそできることであって、目先の目にみえる考古学的事実 などよりも万年単位でしか変わらない心の構造の方が、遙かに嘘をつかないからだと岡はいう のである。

 作家で有名な井上靖が岡と対談した時のことであるが、 井上は岡にこういっている。(岡潔集第5巻)
 「岡先生は新聞に『上代は民族が日本列島へ居ついた末世だ』と書いておられましたが、あ のときは本当に参りました。」

 岡が当時としては大変評価した井上靖でさえ、上代が日 本歴史の出発点だという先入観を持っていたということになるが、岡は逆にその上代を歴史の 末世だと位置づけていることに、強い衝撃を受けたということだろう。

 さて、何度もいうことだが、西洋、東洋、日本とでは基 本的にいって心の構造が違うのである。西洋は第7識、これをマナ識と仏教ではいい、岡はそ れを「第1の心」といっている。次に、今日の中国や韓国などではなく、本来の東洋は「第2 の心」の中の第8識(深い意)か、もしくは質の良いのは第9識(深い知)の世界であって、 日本は実は第10識(深い情)の世界なのである。

 岡は晩年、この第10識が心の世界の根底であることを 発見したのである。そうすると心の世界の規準からすると、世界の中で「日本が最も進んだ 国」ということになるのだが、果たしてそれを認めてもらえるかどうか。そこにこの解説の全 てが掛かっているのである。

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