(※解説18)
これは何という大きなスケールだろう。ただ大きいばか
りではなく、日本民族と人類の心の構造の成り立ちを説明するには、何と説得力のある仮説だ
ろう。まさに雄大雄勁にして喜びに満ちた歴史観である。ところで岡のこの仮説は一朝一夕に
生まれたものではなく、その萌芽は処女作「春宵十話」の中の「ある想像」という文章にはじ
まっている。その後、晩年に知り合った胡蘭成の説に刺激を受けるなどしてその仮説は次第に
深まっていき、ついに10年の歳月を経てこのようなシンプルで雄大な古代日本歴史に結晶し
たのである。
今日では文明の主流を西洋のギリシャ、ローマに求める のではなく、古代中国、メソポタミヤ、エジプト、はたまたマヤ、インカ、アスティカなどの
文明に人々の関心が高まっているようだが、これら東洋の文明には遺跡や埋蔵物だけではな く、それらに現れている心の構造から見た非常に多くの共通点がある。それは岡が主張する8万年以上前の古代文明にその起源があると見れば、次第にその謎も解けてくるのではないかと
私は思うのである。
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