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2013.06.15up

岡潔講演録(6)


「歌で読みとく日本歴史」
第3部 「日本歴史の概要」岡潔著

【15】古代日本民族

 で、最初に編成したクラスが古代日本民族。今から30万年位前に編成した。古事記の始まりからです。その後もっと教えようとしてさらに選り抜い て、無自覚的にだけど情を自分と思う所まで教えようと思い――知が大事だなどと言っている 者を加えておいては教えられない。それでクラスを再編成した。今から8万年位前に。これが 日本民族です。で、古代日本民族のうちには日本民族以外に、漢民族、(古代)メソポタミア 民族、古代エジプト民族等がある。順に文化が優れている。大体、60万年位前から30万年 位前までが神代(かみよ)です。これが神代。それから後は古代日本民族時代。それから後は 日本民族時代。

(※解説18)

 これは何という大きなスケールだろう。ただ大きいばか りではなく、日本民族と人類の心の構造の成り立ちを説明するには、何と説得力のある仮説だ ろう。まさに雄大雄勁にして喜びに満ちた歴史観である。ところで岡のこの仮説は一朝一夕に 生まれたものではなく、その萌芽は処女作「春宵十話」の中の「ある想像」という文章にはじ まっている。その後、晩年に知り合った胡蘭成の説に刺激を受けるなどしてその仮説は次第に 深まっていき、ついに10年の歳月を経てこのようなシンプルで雄大な古代日本歴史に結晶し たのである。

 今日では文明の主流を西洋のギリシャ、ローマに求める のではなく、古代中国、メソポタミヤ、エジプト、はたまたマヤ、インカ、アスティカなどの 文明に人々の関心が高まっているようだが、これら東洋の文明には遺跡や埋蔵物だけではな く、それらに現れている心の構造から見た非常に多くの共通点がある。それは岡が主張する8万年以上前の古代文明にその起源があると見れば、次第にその謎も解けてくるのではないかと 私は思うのである。

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