対談 小原實晃・横山賢二 第1部 「情の世界と物理学」
【7】 岡の時間論
(横山) で、次に岡の心の構造図との対比を僕は考えたんですけど、大体推測としてはそういう風な物理学の世界というのはあるなと思ってたんですが、今日はくわしく聞きましたから非常に鮮明になった訳です。で、岡の唯識論の図からいいますと、結論からいうと第8識、これがこの世界ですね。モナドの世界。
(小原) そうですね、第8識の世界ですね。どうしても時間軸と位置座標軸がありますから。時間空間はあるという、どうしてもそこから見るしかない訳です。
(横山) というのも、僕がなぜそれに気づいたかというと、岡先生が「人間の建設」p37の小林秀雄とのやりとりの中で、「ニュートンの時間がすでにわからないのです。物理学として説明がつくということはわかりますけれど、ああいう時間は素朴な心のなかにはないわけです。アインシュタインはそれを少しもじったともいえますし、そのままだともいえるかも知れません」ということをいっています。
また別の本では「そんな風で理論物理は時間空間がどうのこうのって、あれあとで更に複雑な空間を考えていますが」といっていますので、結局ニュートンもアインシュタインも岡のいう時間空間の世界から出られていない。だから岡のいう「複雑な空間」というのが「アインシュタイン時空」と僕は思うんですが。
(小原) 出られていない。だってこの軸にやっぱりニュートン時間のT(ティー)を使ってるじゃないですか。
(横山) ああ、そうですか。そういうことで岡の時間空間というのは、ニュートン時間からアインシュタイン時間までを総合したものなんですよね。それが私のいう自我の世界観、時間空間の中に物質があり肉体があるという世界観、とイクオールになるという風なことですね。それを突破するということをベルクソンは考えた。それが「時」というものですね、過去、現在、未来。ベルクソンはどういいましたか。ベルクソンは「時」という言葉ではなかったですか。
(小原) 創造的時間とかいう。いろいろ訳し方がありますから、彼の訳はなかなか難しい。
(横山) 過去も現在も未来も一瞬にたたみ込まれている時間というか、そういう風な表現をこの天外さんはしていますね。
(小原) だから道元の過去も未来もない、今があるという言葉と裏腹で同じでしょう。
(横山) 岡はそれを「時」という言葉、過去、現在、未来、その3要素で示しています。そういう風なことでいいんじゃないでしょうか。
(小原) それがやはり第8識の時間ですね。心理学的時間。心理的時間、どっちかというと。その人の持ってる心の世界で時間は決まっている。
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