対談 小原實晃・横山賢二 第1部 「情の世界と物理学」
【8】 映画の構造
(横山) 固有時間と思っていい。そうですね。で、反物質の世界があるというのは、私がこの間説明した映画の構造と同じで、先ず光源があって次にフィルムがあって、そして最後にスクリーンという時間空間のある世界ができる。それでいうとフィルムに当るところが第8識なんですね。ここに物質の世界とは反対の反物質の世界がある。そこにネガフィルムとしてたたみ込まれている。こういうことなんです。
(小原) そこに対等な理論を築いたのがディラック。それを天外さんはこちらが基だという風にいい替えたんですね、ボームの理論を利用して。
(横山) もう一歩踏み込んだ。だから仏教もそこはわかっていて、第8識(アラヤ識)というのは過去の記憶というものを全て貯蔵しているところだといってます。それがやはりフィルムになる訳ですね。
(小原) まあ含蔵識とかいって、時間の集積がある訳です。固有時間を持って生まれている訳です。
(横山) だから第8識と特定してもいいと思います。空間的にいっても反物質という、いわばネガフィルムの世界が第8識にある訳ですから。時間的にみても、ニュートン時間とアインシュタイン時間を合わせた時間を計量できる時間とすると、その背後には計量できないが過去、現在、未来という、そういう性質をもっただけの世界がある。それが第8識である。
(小原) なるほどね、それが「時」でいいでしょう。
(横山) そう、「時」です。時間的に見てもそういう風になるし、それから空間的にみても反物質の世界がネガとして、そこに貯蔵されているんだという風なことでいいんじゃないかと思いますね。
(小原) ネガとして貯蔵されている。そこを流れている時間が「時」。
(横山) 「時」です。固有時間ではなくて。
(小原) 別のいい方をすると、その人の「業」のようなものかな。含蔵されているから。
(横山) そうですね、「業」ですね。ただ岡先生はその言葉でいってはいませんが。
(小原) だから固有時間を持って生まれるというのはそこなんでしょうね。
(横山) この第8識というところは非常にバラエティーに富んだところで、いろんな側面があるんですね。
(小原) 単純な言葉で説明できると思いますよ。やっと気づいたくらいですから。
(横山) だからまあ、そういうことですね、私の意見も。そういう意味では小原さんもうなずけますか、岡の理論は。
(小原) 完全にうなずけるようになりました。
(横山) そうですか、それじゃあ岡の心の構造は最新の物理学と融合できた訳ですね。
(小原) 僕はどうしてもここに留まってるものですから、ディラックやボームのいう対等という、つまり反宇宙はこっちの目に見えてる宇宙と対等なものとしてどうしても捕えてましたから、この天外さんのような見方はまだできてなかったみたいです。
こちら(反物質)があるから、こちら(物質)があるという見方はできてなかった。それはやはりこちら(反物質)があるから、こちら(物質)があるという岡先生の第8識、第9識の方が正しいと思います。
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