(※解説12)
これは勿論、主に出版されたものの中での「晩年の三部作」という意味である。先ず1969年6月出版の「曙」であるが、岡がこの年に「2つの心」を提唱して初めて書かれたものであって、東西文明を構造的に「2つの心」に集約統合した人類史上、画期的作品といえるのである。
そして、ある録音の中でも「この私にも、やっとわかりはじめたのだ!」といっているから、ここからが岡の晩年の思想の核心であると私はいいたいのである。
次に1969年10月に出版された「神々の花園」は「曙」の延長線上に書かれた作品で、今読んでみても結構難しいのだが、若かりし日の私はこの2冊を何度も繰り返し読んだものである。しかし、当時その内容がよくわかっていたかというと、そうではない。今も理解度は当時とほとんど変わってはいない。人とはそんなものである。
最後の「流露」であるが、これは1970年1月に岡が原稿を出版社に送ったものの、出版社が出版を躊躇したもので、今日まで原稿のまま岡家に眠っていたのだが、近年整理され活字で読める資料となったものである。
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