(※解説11)
歴史が示すように他民族を征服する、大自然を征服するという発想を持ったのは第1の心の西洋文明だけであるが、前章ではその「西洋文明は壊の時期に入ったのです」と岡はいうのである。しからば我々はこれから先、どうすれば良いかというのがこの岡の提言である。
否、「提言」などという生優しいものではなく、声を枯しての岡の「絶叫」だといった方が良いのかも知れない。こんなことを40~50年も前に本気でいったのだから、流石にこれは「狂人」である。
そしてまた、これが岡のいう「日本の使命」といっても良いのかも知れない。人類はまず西洋の第7識「物質文明」によってもたらされた今日の危機を、渾身の力をふりしぼって乗り切らなければならないのである。これを乗り切らなければ、人類に未来はない。
その岡の人類への処方箋であるが、今までこの解説でご紹介してきたように、岡の晩年中期(1969〜72年)に集中的に残されているのである。だから私はここばかり取り上げて解説を書いているのである。日本民族がこの地球上に渡ってきて30万年、この歴史の一大転換点において、日本人が日本文明の特異性と重要性になんとか早く気づき、日本独自の文明を起こすことが人類の未来を決定することになると岡はいうのである。
そのためにも、日本人の一人ひとりが「真心を傾け尽して生きようではないか‼︎」と岡は今でも叫びつづけているのである。
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