岡潔講演録(17):「1969年の質疑応答」解説:【1】軍備と核文明
岡潔講演録(17)
「1969年の質疑応答」
(質問) 現実的なことで問いたいんですが、先生は軍備、日本の軍備についてはどういう意向をお持ちでしょうか。
(岡) あのう、軍備ねぇ。そのうち核文化を非常に高めてね、隠然たる睨みをきかすのが一番いいんじゃないか。核文化が高くなれば、こんなやせ島を取ったために、例えば中共が、アメリカへ日本の高い核文明が皆行ってしまうということになったら、うっかり取れない。で、それまでは安保、是非要りますよ。それは中共軍、入って来ますよ。
ここで岡は「核文明は更に高めるべきだ」との見解であるが、これは国防の観点からの見解であって、岡の資料の中にこの核技術に関する言及は、あまり関心がないとみえてか他には全く見当たらない。
岡の一貫した主張は、当時の高度経済成長時代の生産力は既に過剰であって、多分江戸時代の生産力くらいに戻るべきだとの考えであるから、その計算でいくととても原子力など必要ないということになるのである。
ともかく自然科学は根本から間違っていて、その最先端の原子力には頼るべきではないという岡の結論になりそうである。
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