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2017.02.18up

岡潔講演録(24)


「情の発見」

【1】 日本、東洋、西洋の心

 私達は日本人です。私達が日本人であるということを変えようとすれば変えられないこともないでしょうが、それには数十万年はかかる。そうとしか思えない。それで、日本人であるとはどういうことか。

 自分とは何であるかという問題は最も基本的な問題ですが、ところが世界の各地によって何を自分と思っているのかが違っている。

 日本では情を自分と思っている。東洋では情から知と続き、知から意と続く心、この心を自分だと思っている。西洋人は悪魔に魂を取られはしまいか、騙されて売り渡すようなことはしはすまいかと恐れていますが、その魂、ソール(soul)、それが情です。だから西洋人は情を自分だと思っていない。こんなに違う。

(※解説1)

 岡は外の誰もいっていないのに、日本、東洋、西洋の心の構造が違っていることがどのようにわかっていったのだろう。それは先ず1929年にフランスのパリに留学してから気がつきはじめ、丁度40年後の1969年に至ってはじめて西洋と東洋(日本を含む)の違いがはっきりとわかり、それを「第1の心」と「第2の心」とに別けていたのだが、その後3年をかけて東洋の「知」と日本の「情」がわかっていったのである。

 前回お伝えした講義録第23回で「知と情」の違いが寸前のところにまでわかってきていたのだが、それが明確にわかったといえるのは実は今回のこの講話からである。だからこれは一種の「発見」であるが、この「発見」が成されたのは丁度72年の初頭であるといえるのである。

 猶、作家の五木寛之さんにも私がタイトルで使った「情の発見」という著書があるのだが、その本は私が五木さんに岡の資料を送った後で出版されたもので、その内容には岡とは雲泥の差があることをここで付け加えておきたい。

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