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2017.05.02up

岡潔講演録(26)


「情の世界」

【21】日本の国のお掃除

 今日本は、国の情の穢れを一度お掃除しなきゃいけない。それにはどうすればよいか。家庭っていったってなかなか聞かない家庭が多いから、学校教育を変えるのがよいでしょう。

 これは大多数の人が成程そうだとわかって、その声が高くなってこなきゃ変えられやしない。今そういう政治の仕組みでやろうと約束しているからしようがない。あれ、間違っているんですけど。日本はあんなことしたら非常にやりにくいんだけど、今そうしているんだから仕様がない。

 これはいかんと皆思い出したら、これはもう、議会でいっぺんに変えてしまえる。そうすりゃ、70年待ってたら人は(ことごと)くかわってしまう。てっとり早くお掃除が出来る。情の濁った人が生い立ってこないように、注意だけしたらよい。

 ここでいっぺんお掃除しなきゃ始まらんと思うほど、濁りがひどい。だいたい応神天皇以後、外国の真似をそのままやったっていうのは、国の情を濁らせたということです。そのお掃除は、いっぺんやらなきゃいかんのです。

 明治維新ではお掃除するどころか、より余計濁らせてしまった。終戦後はそれがはなはだしい。ここでいっぺんお掃除すべきです。これが神々の計画だと思う。

 (質問) 今のように「人に節操あるは情あるによる」っていうように云って頂くと、わかる人にはピリッと来る・・・

 あそこを漱石、なにげなく云った。あの言葉、だいぶ邪魔になってますよ。情に棹させば流される。これ感情のことです。

 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」って云うんだったら、しからば人は如何に生くべきかの厳粛な問題でしょう。それを「兎角に人の世は住みにくい」なんて軽口云ってしまった。

 漱石、のちに「こころ」っていうのを書いた。あれが情の働きです。しかし「草枕」の方が世の中によく通ってしまっているでしょう。知らず知らずに非常に悪いことをしたのですが、漱石が悪いんじゃない、明治以後が、欧米の思想を取り入れたのが悪いんです。

(※解説21)

 坂本龍馬は「お掃除」ではなく「せんたく」という言葉を使い、「日本を今一度せんたくいたし申候」といったが、これは幕末の混乱にはやく終止符を打ちたいというくらいの意味ではないだろうか。しかし、岡のいった「日本のお掃除」とは言葉は似ているが、実はスケールがまるで違うのである。

 日本は有史以来、「心の世界」から見ると日本には10万年遅れている東洋、更に20万年遅れている西洋の有形文化をこの1500年で受け入れてきたのだが、ここで「日本の心」とは第10識「真情」であったと早く目醒めるのが、人類に対する日本人の責務であると岡はいうのである。

 岡はその時期も計算しているのだが、日本人の多くが目醒め国内か一致団結するのは、なんと2170年頃というのである。つまり、明治維新から今日までと同じ時間が、これからかかるというのである。

 というのも、岡は人類を何百年、何千年、何万年という時間的スケールで見ている人だから、この時代を大転換するにはそれくらいの時間がかかると見るのも、無理なからぬところではないだろうか。

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