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2017.05.02up

岡潔講演録(26)


「情の世界」

【26】 わかったら人に話す

 情というのが本体である。無生物もそうだろうと、そう云われてるんだけど、生物は勿論情あるが故に生きてる。しかしその情というものは、昆虫なんかにはよく現われてない。

 意識的には現われてはないんだけれども、例えば蝶の羽根のきれいな模様、あれは情の働きです。情に妙観察智という智力が働いたものです。周囲がきれいだったら、羽根もそうなるんですね。雨蛙が周囲の色に同化する。土に下れば土色になり、木の葉にのぼれば緑色になる。これも情の働きです。

 (質問) 大層よいお話を聞かせて頂きました。今日は先生、晴々とした気持で帰れます。どうもありがとうございました。

 そうですか。それはよくわかって下さって。神々はここで日本の国の心の大掃除をしようと思っているに違いない。で、その後についてやればよいわけです。

 日本人はちょっと話せば、わかることはわかる。しかしやろうと思ったら、1億ったら大変な数だから、わかった人がまた話してくれるというやり方をしてもらいたい。1人で話してまわったら、こんなもの命がいくらあっても足りない。

 だからわかったら話すというようにしてもらいたい。これが出来るか出来んかですね。出来るんだと思う。神々はそうさすつもりでいるんだろうから、それなら出来るんだと思いますけど、これさえ出来ればいっぺんに変ってしまう。お掃除はいっぺんに出来るんですね。

 あと人が変るのを待ってりゃよい、教育を変えてね。家庭教育も出来るだけ変えて時のたつのを待ってたら、自ずから心の濁りはとれてしまう。だから人に話せるようにわからなきゃ。(笑)

 その為には、これは大事だ、これは切実だという実感をこめてわからなきゃ、話そうとしやしません。自分の身辺を自分の情の目で見極めていけば、1人1人みな話すことが出来ます。

(※解説26)

 私は岡の残した言葉は、いずれ人類の「経典(けいてん)」になると思う。それほどのものなのに、世の人々は全くその存在を知らないのである。それを何とかして伝えたいというのが、この解説の目的なのである。

 凡人の我々には、とても岡がしたような大発見はできない。使命を負って生まれてきた大天才にしか、それはできないのである。しかし、折角人類のために生み出された思想を、そのまま埋もれるにまかせるだけで、それで本当によいのだろうか。凡人には凡人なりに、何かやるべきことがあるのではないだろうか。

 「わかったら人に話す」と岡はいう。否、話すだけではなく岡の思想を世に伝える方法は、その気になりさえすれば幾らもある。わたしはそのやり方でやってきた。このことがいつか必ず人類の未来を開くことになると、私は信じて疑わないのである。

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