岡潔 「情の世界」の解説
講演日 :1972年4月2日
於 奈良 岡家
横山 賢二
はじめに
1972年にはいって第10識「真情」を本格的に語りはじめた岡であるが、前回までの「情の発見」と「情を語る」の2つの講話は「情」の入門編といってもよく、今回の「情の世界」からは「情」の上級編といえるものである。既に発表した講演録⑴「情と日本人」もこれに含まれる。
30年ほど前の私が38才の時、夜突然に目がさめ岡なきあとの岡家へ行こうと決意しすぐに実行したのだが、その時岡家ではじめて目にしたものがこの72年の第10識「真情」の資料であった。私はそれを読んでいると、次第に涙で文字が読めなくなってきたのを今も憶えている。何かやっと故郷へ帰ってきた。これが日本人の「心の世界」の故郷だと私は直観したのである。
それを境にして私の人生は一変した。私の目標は岡の未発表の晩年を世に知らせることであり、特にこの「情の世界」をできるだけ多くの日本人に訴えることだったのである。4、5年前よりこの解説を書きはじめたのも、この「情の世界」の発表に向けた長い長い前奏曲であり、今回こうして悲願の発表ができることは私の人生の最大の喜びである。
目 次(下の項目をクリックしてお読み下さい)
【1】 自然科学はここまで
【2】 素粒子論の結果
【3】 世界の各地で違う自分
【4】 西洋人のソール(魂)
【5】 禅師と母親
【6】 情の属性
【7】 2つの意識
【8】 幸福と情
【9】 孔子の仁
【10】 仏教の真我
【11】 釈尊、孔子、老子
【12】 神々の長い教育
【13】 公害をなくすには
【14】 人はまだ人類になっただけ
【15】 人類の滅亡を喰い止める
【16】 認識と観念
【17】 大宇宙の実体は情
【18】 人類の向上とは
【19】 宣長と漱石
【20】 アメリカは前頭葉の世界
【21】 日本の国のお掃除
【22】 情は液体
【23】 前頭葉を使わない日本人
【24】 「春雨の曲」を書き直す
【25】 残酷なことは人だけがする
【26】 わかったら人に話す
【27】 日本舞踊
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