「情の世界」
【18】 人類の向上とは
(質問) 先生、人類が向上するとはどういうことなんでしょうか。
個人についてみると、情に深く根をおろしたものは無くならない。何が根をおろすかというと、情緒が根をおろす。その人に情緒が出来ると無くならない。すなわち、情緒というものは生あって滅がない。情緒は増える一方。だから情は豊かに深くなる。これが向上だと思う。それ以外に、人がだんだん幸福になるということは有り得ない。
薪がだんだんふとるから、人はだんだん幸福になる。情だけが大宇宙の実体。一口に云えば、それがだんだん深くなるのが向上です。その為に大宇宙は営み続けているんでしょう。
映像にすぎないものを実在だと思って、悲しんだり苦しんだりしている。悲しんだり苦しんだりするということは情のことだから、ここからが実在。それをやるから情が深くなる。だんだん向上する。
だから人類の向上と云えば、情緒がだんだん豊かになることです。自然をみても、すみれの花が床しいというのが情緒の現われでしょう。あんなもの、始めから有ったんじゃない。雑草の花がすみれの花になっていくように向上する。
動物の中で人だけが悪い動物だなどと云われるのも、そう長い間じゃないでしょうけど、今はそうなんです。こんな時期に、学校は孔子を見習ってもらわなきゃ。アメリカを見習ってもらったらしょうがない。(笑)
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