「情の世界」
【25】 残酷なことは人だけがする
ともかく、この頃の世の中は、例えば新聞でみても、テレビのコマーシャルみても、嫌な汚い世界だなあと思うでしょう。あれが前頭葉という世界の図です。それを知らなきゃいけない。
(質問) テレビのコマーシャルなんか、人を悪い方へ悪い方へ引張っていくようなことばかり奨励していますね。
コマーシャルみたら、商売人のど根性っていうのは、嫌なものだなあと思う。あれが自我です。
体を持って生きなきゃいけませんから、この物質を維持するためにいるだけの衣食住はいる。それ以上はいらんのです。それ以上あれば、幸せにはなれんでしょう。どうしても物質に心を奪われてしまう。
(質問) 動物の世界をみてみますと、腹がへってくると弱いものを殺して食べますけれども、腹が大きくなったら、目の前を通っていても何もしないですね。
ええ、そこまでならいいんです。欲しいものは殺すという、人だけはそれをしてもよいという理は決してない。動物、ほとんど滅びそうになっている。これくらい悪い奴です、人間という動物は。
(質問) 人間というのは腹がふくれていても、まだ取って来て冷蔵庫へためておくということをしますでしょう。
熊なんか残酷なことをするようだけど、種族を維持するにはあれがいるんです。その必要のある限度を超してはならん。そうすると、これは純粋な残酷さじゃない。本当に残酷なことは人だけがする。
残酷なことをすると気持ちがよいっていうのでは ― 永田洋子なんか少しそれがあるでしょう。こんなの人だけです。何故そうなるかというと、大脳前頭葉などというものを持っているのは人だけだからです。猿にもあるんです。あるんだけど、極小さいから内容がない。他の動物にはない。
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