「情の構造」
【18】 スパルタの競技
それほど日本人以外の人には、情が自分だと教えるのはむつかしい。そんなもん、ギリシャ神話をみてご覧なさい。力が強いのが偉いんでしょう。それから、スパルタでどんなことをやっていたか。なんか乱暴なレスリングのようなことをやったらしい。
ある男が他の男の首をしめた。そうすると、首をしめられた方は、首をしめられながら他の男の足首をねじ曲げて、骨を折ろうとした。それで、その足首をねじ曲げられた方が痛みに耐えかねて降参した。もっとも、その時は足首折れていた。それでもう1人の方に勝利の栄冠を与えようとして見たら、首をしめられてすでに死んでいた。だからその時の勝利者は死んだ方だと、こういうふうだったらしい。
だいたいスパルタの競技というのはこんなものだったらしい。そしてギリシャ文明を代表していると、その人は云っている。そうかなあ、そう聞けばそうかもしれん、僕はアテネだと思っていたんだけどと思いました。昔からそんなふう。
力じゃない、情だと教えるのがどんなにむつかしいか。力は非常な濁りです。知も濁りです。それをわからさなきゃ。偉いとかあかんとかいうのもひどい濁りです。真情の世界に偉いあかんの別はない。
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