(※解説18)
今や民主主義も劣化した。選挙でも投票率が低い。何とかしなければとの声がある。明治以来、選挙権を民衆が勝ちとってきたのが民主主義の歴史のはずである。
しかし、今やその折角勝ちとってきた選挙権を、自ら放棄する人が増えたのである。その理由を尋ねてみると、現実の政治が相変わらず良くならないからというのである。
今はその原因を制度改革に求めて、1票の格差是正とか若者への選挙権の拡大とかに躍起になっているが、そんなことでは問題は解決しないと思う。
この戦後さかんにもてはやされた「権利」とか「人権」とかいう言葉は、実は「小我の」という言葉が抜けているのである。本来「権利」とは真我(無私の心)の人を守るのが目的のはずなのだが、いつのまにか「小我の権利」にすり変っているのである。つまりあの当時、利己主義の人ほど「権利」を主張したのである。
だから問題なのは本当は「権利」か「義務」かではなく、「真我」か「小我」かが問題なのであって、西洋によろめいてそのことに気づかないマスコミや知識人がいまだに多いのである。それで岡は真我(無私の心)の価値観を持ちだしてきて、「1票を投じる義務がある」と言い直したのである。
Back
Next
岡潔講演録(28)真我への目覚め topへ
岡潔講演録 topへ
|