「真我への目覚め」
【23】 芭蕉の俳句
それから、これもやはりフランスにいる時思ったが、芭蕉の一門 ― これを蕉門といいますが、この蕉門の人達は、実に、良い句を詠むために生涯をかけている。全く生涯をかけて名句を詠もうとしている。ところが、名句というのは、芭蕉のいうところによると、普通は、1句か2句、10句もあれば名人だという。
俳句は、5・7・5というような短詩形です。俳句は、今日、非常に良い句が詠めたと有頂天になっていても、明日はその反動でつまらないと思ってしょげるかもしれない。こんな頼りないものの1、2句に生涯をかけるというのは、まるで薄氷に体重を託すようなものだ、そんな気がしました。
それで、何故だろうかということが知りたくて、芭蕉俳句集とか芭蕉七部集だとか芭蕉連句集とか ― これらみな岩波文庫にあります。それから、芭蕉遺語集、これは改造文庫にありましたが、今では、赤ぞうし、黒ぞうし、外に何か2つほど書いてあったのが岩波文庫に出てますが、そういったものを日本から取り寄せて調べてみた。調べてみたが、この問題は、フランスにいる間はわからなかった。日本に帰って、だんだんわかってきた。
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