「岡潔先生と語る」 (1)- 東洋と西洋の融合 -
【1】 はじめに
(森田)先日岡先生のお宅に伺いました時、どういうようなことを聞きたがっているのか掴みにくいから、質問の形式でやってくれ、こういうお話でございました。ご案内する時、そういうことを書いてもらうつもりでしたが、そういうことが充分盛られてなかったように思います。それで、今から急いででも、何か一つ先生にお尋ねになることを、それぞれお考え下さったらよろしいと思います。それからもう一つ、あまり固くならないで、ごく楽な気分でやって頂きたいと思います。何回もおいで下さっている方の中にも、こんなことを聞いては悪いやろうか、笑われはしないやろうか、怒鳴られはしないやろうか、とお思いになっている方もおられるかと思いますが、気楽にいろいろお聞きになって頂きたいと思います。
こんなことを申し上げては失礼ですけれども、昨日先生のお宅へお邪魔致しましたら、今あまり頭が冴えていないんだとおっしゃっておられました。冴えてない時は優しいんだそうでございます。冴えられるとまことに峻烈、電光雷鳴以上のものを私達も過去何回か感じてきた訳ですが、そこにも有難い慈悲を感じる訳ですが、初めてですとびっくりする場合もございます。先生に一喝されますと、押して質問するにはなかなか勇気がいります。何分わからない者達ばかりですので、と申し上げて置きましたのですが。
今日はおそらくそういったことは滅多にしないと、こうおっしゃっておられましたので、ご存分に高いことでも低いことでも、どんどんお尋ねになって頂きたいと思います。
(司会)ではそういうことでございますので、先生を我々のおじいさんと云っては失礼ですけれども、まあそんなお気持で先生の方へどしどしご質問して頂きたいと思います。
皆さん初めての方もおいででしょうし、日頃先生の本を読まれて言葉がわからないとか、様々な疑問をいだいておられると思いますので、どなたからでも忌憚なくご質問して頂きたく思います。(質問出ない)
私達、毎日新聞と朝日新聞に案内を出しましたのですが、テーマは「東洋と西洋の文化の違いについて」と致しましたが、これは我々の全くの予測ですが、そういったことについてでも、先ず先生の方からお話しして頂けませんでしょうか。
(岡)もうそれ、何べんも方々でやった。(笑)で、このうちにも随分お聞きになった方があると思うから、さっき森田さん尋ねて頂いたら、そうするとどういうことが知りたいかわかるとおっしゃってられましたが、本当はわたし、同しことばっかり方々で云って、また同しこと云ったら何度も聞く人がある。今は話すことは他にないし、話すこと種切れだから聞いてもらったら、それについて話すと云ったんです。何でも云って下さったらそれについて話す。(笑)そうすると繰り返して云ったところで構わないっていうことになるんですね。わたしが先に立って同しことばっかりしゃべるというのは、これはどうも・・・。何でもいいんです。(笑)
|