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 2023.02.13 up

岡潔講演録(29)


「岡潔先生と語る」 (1) ― 東洋と西洋の融合 ―

講演日 :1970年11月22日

於 奈良大安寺

 

横山 賢二

はじめに

 岡潔講演録(28)「真我への目覚め」を最後に発表してはや5年が経つ。また、その後「岡潔録音」という岡の肉声を発表して2年が経つ。人類の未来を左右する岡の晩年未発表の資料の「これだけは」という最重要部分は、私としては全て発表してきたつもりであるが、今日の危機的な世界情勢をみるにつけ、皆さんに今一度念を押しておきたいことがある。

 それは「日本の心」とは第10識「真情の世界」であるという自覚を得ることとは裏腹に、もう一方の岡の「西洋文明批判」である。皆さんはどう考えておられるかわからないが、今の世界の危機的状況は徹底した物質主義、個人主義の「西洋文明」の暴走と氾濫から来ているのではないだろうか。ご覧のようにわずか100年で、人類は完全に行き詰まってしまったのである。

 今日の人類の危機、つまり環境問題や国際紛争その他、原因はどこから来ているのかを正確につかむことが、今の我々の喫緊の課題なのである。それができないことには、人類の滅亡を止めることなど不可能である。それを敢えてしないのは、また出来ないのは、この人類の大転換点に生れてきた我々の責任放棄というものではないだろうか。

 岡が人類の心の世界からみた原理「2つの心」を提唱したのは1969年から71年までの3年間であるが、その3年という岡の晩年としては相当長い期間をかけて辿りつき、そしてそれをシンプルにわかりやすく説いたのが、これからお伝えしようという対話篇「岡潔先生と語る」である。つまり、これは「2つの心」の世界観の最終的な結論篇といえるものであって、それを原理として「人類の滅亡を救え」という岡の天上からのメッセージである。

 なお、この資料は高知県出身で奈良在住の松澤信夫先生がじかに岡の話を録音し、その録音テープをみずから書き起こし、岡の最終的な承認を得て、当時の岡の支援団体「葦牙会(あしかびかい)の機関誌「葦牙」に発表したものである。

目  次(下の項目をクリックしてお読み下さい)

【1】 はじめに

【2】 神道と仏教

【3】 肯定と否定の間

【4】 東洋と西洋の融合

【5】 知、情、意

【6】 「時」について

【7】 政治、天皇

【8】 日本民族の滅亡は食い止めたい

【9】 第一の心と神

【10】 葦牙会の活動

【11】 美は第二の心の世界のもの

【12】 禅の実践とは

【13】 仏教では日本民族は団結しない

【14】 小我を離れる

【15】 歴史は民族の叙情歌

【16】 男女共学、教育

【17】 「神」について

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