「岡潔先生と語る」 (1)- 東洋と西洋の融合 -
【10】 葦牙会の活動
(男性)先生のお考えは非常によくわかりますし、またここへお集まりの皆さんも、何とか人類の滅亡を救おうじゃないかという気持ちでお集まりのことと思います。先生のお考えに、特に「曙」に書いてありますような過程を経まして、先生が今おっしゃったような、神々が第二の心というものであって、そして滅亡しようとしている自我の強い人間を救って下さる。その神様を招集する方法、これをどうしたら我々は・・・
(岡)神様って人でしょう。そのうち考えて始めます。日本民族は打って一丸としなきゃいけないと思う。これを仮に葦牙会と名付けたんです。「古事記」に、
「この時国稚()く浮き脂()の如くにして、海月()なす漂える時、葦牙の如 ――葦の牙と書いて葦の芽のことですね、泥の間から葦は芽を出す ―― 萌え騰るものによりて成りませる神のみ名は、うましあしかびひこじの命、次いで天の常立の命」民族精神があちらこちらから高揚して、しまいにずっとひと続きの民族精神の高揚の膜というものを張ったら、最早なにでも出来る、と思うんです。まだ葦牙会は始めてないんです。
(男性)何とか早くそれをスタートさせて頂きまして、更に「曙」の中に書いておられますように、まさに須佐之男命のご活躍時代を顕現しなければならないであろうというお考え、私もそう思うのです。しかし今のままではどうにもならないような気がしますし、今日こうしてお集まりの皆さんも、先生に早く葦牙会をご指導願って、我々がどうして助けあい寄りあって団結すればよいかということをお考えだと思うんですが、そういったことについてお伺い致したい訳です。
(岡)「曙」へ葦牙会のこと、少し書いておいたんですが、始め葦牙会には常任発議員というものを作る。それから、誰でも何か云いだしたい人はその常任発議員のところへ行って、その情熱をぶちまける。そうすると常任発議員はそれを聞いて、もっともと思えばその人を臨時発議員にする。そして臨時発議員と常任発議員が相談して、よいと決まればそれで行動を起こすと、そんなふうなやり方にしてやって行きたいと思うんです。何故そんなふうなやり方にするかと云うと、もし葦牙会に会長を置くなら、皇太子殿下にでもなって頂かなきゃ仕方がない。ところがこれは多分今の憲法では政治運動となって出来ないだろうと思う。だから会長を置くわけにいかん。それで常任発議員というものが寄って脳細胞のような形を作って、それでやって行ったらと思うんですが、その常任発議員を始め作らなきゃならない。まだ一人も常任発議員が出来てないんです。だから葦牙会はまだ出来てないんです。常任発議員に人物が欲しいですね!
そして表向きには出来んだろうけど、皇太子殿下にいろいろ申し上げてっていうふうになってきたら、もう大分火の手は燃え上がったことになるんですけどね。
(男性)一日も早くそういう方向にお運び願いまして・・・
(岡)矢張り日本民族を打って一丸とするには、どーしても皇太子殿下くらいに出て頂かなきゃ駄目だと思うんです。だから会長は作らないつもりです。会長なんか作ったらとても駄目です。
(男性)どうもありがとうございました。
|