okakiyoshi-800i.jpeg
2023.06.07up

岡潔講演録(30)


「岡潔先生と語る 」(2)- 西洋文明の限界 -

【19】 西洋文化は浅い

 (岡)科学するということは、数学するということは、だけどそれだけです。だから碁や将棋とあまり違わない、本質において。碁や将棋を深いとか何とか云うのと違わない。西洋の学問は勿論そうですが、芸術だってどうも西洋の芸術は底が浅くて「遊び」っていう気がしますね。だから面白いものだから、初め引きつけられるんです。わたしが西洋に引きつけられて数学やったなんていうのも、やっぱり引きつけられたんでしょう。何か非常に色彩の豊かな大輪の花を思わせるものがありますが、西洋の文化は。そういうところに引きつけられるんでしょう。

 第二の心の世界のものは、総てそんなに具体的に形を表すものじゃないんです。だから色鮮やかな大輪の花はみな第一の心の世界のものですね。感情的にであって、情緒というふうに深く働かない。感情は喜怒哀楽の情として目によく見えますが、これが西洋人の世界なんです。

 西洋人にだって第二の心は働いてる。働いてるから西洋文明というものが有り得たんですが、その働いてるということを、彼等はついに自覚しなかった。働き方もまた潜在識的に働いてるんでしょう。働き方が東洋人とは違うらしい。潜在識的に働いてるらしい。ポアンカレーの数学上の発見とわたしの場合とは少し違うようです。大脳生理が違うんでしょう。

Back    Next


岡潔講演録(30):「岡潔先生と語る」(2) - 西洋文明の限界 - topへ


岡潔講演録 topへ