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2014.11.15up

岡潔講演録(12)


「人類自滅の危機」

【2】 欧米人と頭頂葉

 ところで、人類自滅の危機は欧米人の頭頂葉の目が見えるようになって来なければ去らない。と言うんだけど、欧米人は運動領を通って一見道が近いんですが、仲々行けない一つの理由は、前頭葉を使って上へ上がろうと思ったらうぬぼれが、「俺が俺が」があっては絶対登れん。

 ところが欧米人の大多数は俺が偉いとしか思えないんでしょう。だから、それ前回りだから、それ、やっぱり後ろ回りの日本民族とか漢民族とかに30万年かかってる、これがまあ人類の持ってる文献による一番正確な数字です。

 つまり、日本民族と漢民族とは同じだったから。僅々数万年前です、別れたのは。だから中国の伝説の時間の長さ、いろいろ、これはこれくらい、これはこれくらいと書いてある。古事記には書いてない。それで、そちらの方、足し算してみる。そうすると30万年前となる。

 で、文献たら、頼りなくてもこれ以外何もない。で、それ位だろうと思いますし、そうしてあるんです。これは堂々とした文献によった数字です。で、30万年。こっち(前回り)通って行ったって、やはり早くて30万年だろう。ことによるともっとかかる。途中で自分で上へ登らずに止ってたら、どれだけかかるか分からん。

(※解説2)

 ここでいう「欧米人の頭頂葉の目が見える」とはどういう意味だろう。 頭頂葉には無私であり無意識の「第2の心」が宿っていると岡はいう。

 この頭頂葉に発する「念」が前頭葉にまで達して初めて、意識できる「第1の心」になるのである。欧米人はこの心を「自分」だと思い込んでいる。つまり、テレビかラジオにたとえると、「発信機」が「第2の心」であって、「受信機」が「第1の心」という構図になるのである。

 しかし、古来東洋の仏教や儒教や老荘が暗に主張する、頭頂葉に宿る「第2の心」が本当の自分なのであるから、欧米人は「自我抑止」を長い年月つづけ「第1の心」の世界をできるだけ早く卒業して、無私の心の「頭頂葉の世界」に何とかしてたどりつかなければならないのである。

 そうなって初めて「頭頂葉の目が見える」ということになるのだが、岡によればそれには少なくとも10万年はかかるということである。

 猶、岡のいう「日漢民族30万年起源説」については、講演録 (2)2つの心」の【1】 巻頭言に詳しい。

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