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2014.11.15up

岡潔講演録(12)


「人類自滅の危機」

【7】 毛沢東の大砲

 それでねえ、近頃私、非常にホッとしたのは、毛沢東の心理に、どういう心にどういう動きがあったのか分かりませんが、その為大砲をソビエットへ打たせてしまった。もうホッとした。これでまあ、3年は大丈夫と思う。あの大砲を韓国へ撃ってあったら、これはもう多分大量の失業者が出てる。そうすると事実上(実体の)ない日本の国は実体を暴露して、バラバラになったに違いない。

 これは全く毛沢東の心理のものでしょう。そんなもん僕なら韓国へ撃つがなあ。アッハハ。あれは文化大革命が毛沢東にとって、取り返しのつかない失敗だったっていうのはどうも本当らしい。その為には韓国へ撃った方が良さそうに思う。こんな風になる。

 だから日本という国はあれより前は、危なきこと累卵の如しだったんです。全く毛沢東の心の動き1つにかかっている。あれは事によると、造化が毛沢東の心を操ったのかも知れん。もしそうだとすれば、造化の意志は人類を地球上において実らせようというにあるのかも知れない。

(※解説7)

 ここも毛沢東についての岡の数少ない発言なので拾ってみた。ここに出てくる軍事衝突は1969年の「中ソ国境紛争」のことであって、私も記憶がある。また、当時中国で進行中の「文化大革命」について、岡は次のようにいっている。(講演「一滴の涙」より)

 「異文化(共産主義)入れたら中国あんな風になってしまった。中国あれ、本当は毛沢東は名医(藪医者の逆説的表現)で文化革命やった。これはどういう事かと云いますと、中国の文化の高さと云いますとね、それが生活に現れている。例えば結婚式なんか5日もかかったものだった。そんなの一切止めてしまった。だから中国の女性は何の為に生まれて来たのかわからなくなっている。こうなったら普通は自分の欲していたものは心であって物ではなかったと気付く筈です。それでやはり堯舜(ぎょうしゅん)の治政まで戻さなくては駄目だと気付くはず。ところが今は全くボケてしまっていますから。」とこういっている。

 「堯舜の治政」とは中国古代の理想の政治が行われたと岡のいう時代のことであるが、中国も今は思想的に見て支離滅裂。今後は国としてどうなっていくことだろうか。

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