「民族の危機」
【9】大切な男女問題 (人の中核は生後3年で)
昭和44年(1969)1月 - 2月
大阪新聞
教育がなぜ国にとって重大かというと、次の世代をつくるからである。そういうものが教育だとすれば、教育はもっとさかのぼって見なければならない。
人は不死である。そうすると、どうして親子の関係が決まるのだろう。この疑問に対して仏教は子が親を選ぶのだと教えている。仏教は高僧たちが天眼という目で実際に見ていっているのだが、そのいうところにしたがうとこういうことになる。
良い子がほしければ、未来の両親は、人格品性をよく保たなければならない。(子は自分と性の合ったところへ行って生まれるのだから)取り分け最後の瞬間が強く左右する。それで男女の交わりは、できるだけ気品高くなければならない。(これは夫婦生活の幸福という点から言っても非常に大切である。心が肉体を支配して、みずから行為が生まれるというのが正しい)
どういう子が生まれるかということが一番強く国の興廃を左右すると私は思う。だから男女問題は非常に大切である。しかるに、いまこの国の男女関係は非常に乱れている。だから生後8ヶ月で立って歩くような子が多いのである。私たちのころは生後15ヶ月しなければ立って歩かなかったものである。8ヶ月というのは、非常に牛や馬に近づいているのである。
人の中核は生後3ヶ年の間にできてしまって、もう変えられない。そんな大切な季節のはじまりが、8対15の割り合いでお粗末につくられるのである。
私はこの数字を見ると空恐ろしくなる。こんな子が中学生になったらどんな子になるだろう。教育にわずかにできることは、できるだけ害を少なくすることだけではないかと思う。国は自衛上男女問題を、法をもっても正す必要がある。
|