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 2013.01.26 up

岡潔講演録(4)


「自然科学は間違っている」(1) 岡潔著

【 7】 無差別智(直観)

それで仏教に聞いてみましょう。それじゃあ人は見ようと思えば見えるのは何故であるか。それに対して仏教はこう答える。

人の普通経験する知力は理性のような型のものである。これは意識的にしか働かないし、わかり方は少しずつ順々にしかわかって行かない。

しかし稀ではあるが、たとえば仏道の修行の時とかそういった場合に、これと違った型の知力が働く。無意識裡に働いて、一時にパッとわかってしまう。こういうのを無差別智というのです。

無差別智の智は知るという字の下に日という字を書きます。この下に日を書いた知力といえば知、情、意に働く力という意味です。だから知だけではなく、情、意もそうですね。これしかし、みな同じであって無意識裡に働くんです。そして一時にパッと完了してしまう。そういうのが無差別智です。

無差別智には四種類あります。大円鏡智、平等性智、妙観察知、成所作智。四つありますから四智というのです。

さて、人が見ようと思えば見えるのは四智がことごとく個に働くからと、仏教はそういいます。立とうと思えば立てるのは妙観察知が個に働くからだと、そういいます。人の知覚、運動は全て無差別智が個に働くからと、それでできるのだとそういうのです。

人が観念することができる、たとえば哲学することができるのは、大円鏡智あるによる。人が認識することができるのは、妙観察智あるによる。人が推理することができるのは、平等性智あるによる。人が感覚することができるのは、成所作智あるによる。こういうのです。

(※ 解説8)

無差別智というと少し古臭い表現ですが、現代風にいえば無意識知ということで、意識を通さず働く知、つまり直観のことです。

最近は心理学の方面でも、この直観に関心が高まっているようですが、その直観には働きの違いから4種類あって、それによって生命現象を詳細に説明しているのは、私の知る限り、仏教の中でも光明主義だけのようです。岡はその光明主義の聖典である山﨑弁栄「無辺光」を読破し、現代人にもわかりやすく噛みほぐし、多くの実例をもって説明してくれているのです。ここでは簡単に、その幾つかを掲げてみます。

例えば、鳥の渡りや魚の回遊は今の科学では説明がついてないと思いますが、これが大円鏡智の働きです。動植物に地震や台風の予知能力があるのも大円鏡智です。

カメレオンやアマガエル、海ではタコやヒラメが周囲の色に同化することができるのは妙観察智の働きです。ムカデの足はなぜもつれないか、人はなぜ自転車に乗れるのか。これも妙観察智です。

最後に数学の発見は平等性智の働きです。当然そうであるという「自明」がわかることや人の道徳心を根底から支えているのも平等性智です。だから岡は子供に純正教学をやらせることは、非行少年を減らすのに打手つけだといったのです。

このように無差別智を採用すれば、自然科学では説明がつかない生命現象やその他多くの問題も次第にわかってくるのです。ただ、そのためには無差別智とはどういうものかを各人が、深く理解する必要があるのです。

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