「自然科学は間違っている」(4)
【6】 目覚めた人
第2の心を自分であると自覚している人を目覚めた人と云い、そうでない人を眠っている人と云う。人にはこの2つの状態しかない。
目覚めた人のことを仏教は仏・大菩薩と云う。日本では天()つ神と云う。中国では聖人と云っている人はたいてい目覚めているようである。また神仙()とか仙人()とか云っている人たちのうちにも存外目覚めている人は多いようである。
しかしギリシャにはどう捜しても目覚めている人はいないと思う。欧米にはキリスト教を信じている人のうちには目覚めている人がいると思う。特に中世まではキリストの云うことをそのまま守っていたので、かなり多くの人が目覚めたのではないかと思う。しかし、キリスト教以外ではどんなに捜しても目覚めた人はいないようである。
目覚めるとどんな風になるかと云うと、花を見れば花が笑みかけていると思い、鳥を聞けば鳥が話しかけていると思い、人が喜んでおれば嬉しく人が悲しんでおれば悲しく、皆んなのために働くことに無上の幸福を感ずる。疑いなんか決して起こらない。
これを実際よく見るためには赤ん坊を見ればよい。人は生まれてから32ヶ月の間は自我と云うものを持たない。まだ出来てはいない。それで、この時期を童心の季節と云う。童心の季節の赤ん坊を見ればよい。赤ん坊は自覚していないので目覚めてはいないが、住んでいるところは第2の心の世界である。第2の心の世界に住めばどうなるかと云うことは赤ん坊を見ればよいのである。
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