(※解説9)
ここでは古代万葉の時代から今日にいたるまでの歴史の
流れを、私なりに一目で見てみたい。古代万葉の時代は「懐かしさと喜び」の世界である第
10識「真情の世界」であったと岡はいう。これが神代調である。
そこへ大陸から外来文化である儒教仏教が入ってきた訳
だが、それら東洋思想が良質なのは第9識(知の世界)であり、程度が一段低いのは仏教では
「外道」といって第8識(意の世界)である。この第9識の特徴は智慧のある者は偉いから、
「偉
さ」をいう権威主義となり、第8識は超人的な意(力)の世界であるからオカルトや超能力の世界となるのである。シャーマニズムやアニミズムがこの第8識の
世界である。
そして、日本が平安時代頃から次第に「直き赤き心」を
失い社会が崩れはじめ、戦国時代に戦乱の世となったのは、この2つの心の要素の弊害による
と考えられるのである。例えば平安時代では安倍晴明(あべのせいめい)や役小角(えんのお
づぬ)など「オカルト」の世界が流行し、戦国時代には中国の真似をして日本国の「権威」は
誰が握るのかを争って武将達の戦乱が起こったのである。これが岡のいう「武士道調」であ
る。その状態が3人の英雄によって一応治められ、江戸時代になって芭蕉により再び「神代
調」が復活し、そして辛うじて明治維新を迎えることができたのである。
日本の明治以後の熾烈な対外戦争は300年の鎖国をし
たにも拘らず、西洋の世界進出に伴う科学技術と力の論理(第7識)による戦乱に日本が否応
なしに巻き込まれたのであって、同じ戦乱でも力の論理の戦乱と権威を求めての戦乱とでは、
その性格がいささか異なるのである。その違いを見極めることは重要なことだと私は思う。
ともかく、これが私の日本歴史の略図であるが、今は世
界情勢から見て日本民族の神代調(第10識、真情の世界)への復帰が、世界平和のためには
何よりも待たれるのである。
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