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横山賢二 新聞記事


【13】教育と知・情・意の意味

高知新聞 1994年(平成6年)5月20日(金曜日)

 

 教育とは何かということを考えてみます。それには、人の心とは何かという問題が出てきます。心理学では、心を「知」、「情」、「意」と分けました。で、ここから入っていきます。

 まず「意」です。これは意地や根性と言って、これに任せておくだけでは、人に勝つことばかり目標にして、自分自身の成長はなおざりになります。

 次に「知」です。これは今の学校教育では最も重視されているものですが、近ごろでは、知育偏重教育の弊害を、やかましく言う声がしきりです。

 残るは「情」です。一口に「情」と言うと、現代人は、何か時代遅れの感じを持ちますし、喜怒哀楽の感情のことと、思い違いする向きもあります。

 私は人の中心はこの「情」にあると思います。家庭や学校において、人と人とがこの「情」でつながっているから、人の世に本当の潤いが出るのですし、また、自然の風物の一つ一つに、この「情」を感じ得るからこそ、人生は、真に豊かなものとなるのではないでしょうか。

 今の学校教育は、表面の「知」や「意」に目を奪われて、人には「情」という深い心の根のあることを忘れてしまっています。子供達の「情」を、豊かに美しく育てていくことは、取りも直さず、「知」や「意」の健全な育成につながるものと考えますが、いかがでしょうか。

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