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横山賢二 新聞記事


【15】時代の進歩と3つの疑問点

高知新聞 1995年(平成7年)3月8日(水曜日)

 

 皆さん、今の時代は、どこかおかしいとはお感じになりませんか。差し当たり、三つの疑問点を挙げてみます。もう一度考えてみてください。

 まず教育です。いまだかって、これほど教育が普及した時代は、ありません。多くの教育施設、教育論、教育者、そして多くの子供達が学んでいる。先生方は仕事に追われ、子供達は勉強に追われている。これほど、教育に熱を入れるのであれば、その結果は良い方に出そうなものです。

 ところが、実際は、今ほど教育の危機が叫ばれている時代は、ないのです。

 次は政治です。制度的に見て、今ほど、政治が一般大衆の手に渡っている時代はないでしょう。昔の人には想像もつかなかった、成人男女に一人一票という、選挙権が既に、国民に等しく与えられているのです。これ以上の民主政治は理論上あり得ないはずです。ところが、現状はどうかと言いますと、これほど国民が政治に不信と不満を抱く時代も、またないのです。

 三つ目は、自然科学の一分野、地震予知学です。これには、膨大な資金と人材が費やされ、今では国をあげての取り組みです。が、今度の大震災でも分かることは、この学問が、本当に地震の予知に役立っているのか。少なくとも、被害を軽減するに役立っているのかという、疑問です。地震学者の説明を、テレビで聞いていますと、あれは、「予知」というものではなく、資料と理屈を使った、「言い訳」です。これではナマズを飼う方が、余程ましかもしれません。

 果たしてこれが、進歩というものでしょうか。

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