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横山賢二 新聞記事


【19】今こそ思い出せ 「情の国」日本を

高知新聞 1999年(平成11年)11月1日(月曜日)

 

 いま、世界は力と対立の思想に覆われてしまっています。これは「意思の思想」というべきでしょう。そういったメガネで見ますから、日本というと右翼とか軍国主義を連想する人が多いのです。

 しかし日本は、実は「情の国」ではないでしょうか。むかしから日本人は自然の風情である花鳥風月をことのほか喜びますし、人の苦労話や人情話を聞いてはハラハラと涙を流すというふうです。

 その本質は今も昔も少しも変わってはいません。春になれば花見、秋になれば月見や紅葉狩り。それを表現する和歌や俳句は近年ますます盛んです。江戸の歌舞伎や浄瑠璃は、現代の「おしん」から始まって「すずらん」や「あすか」に衣替えしただけです。

 これほど「情」というものに強い感受性を持つ国民性が世界にあるでしょうか。この細やかな「情」が産業や文化全般にわたって表れたものが日本文化です。こう考えていきますと、日本は単なる右翼や軍国主義ではなく、最も平和で建設的な国柄ではないかということになります。

 力と対立の「意思の思想」であるか、風情と人情の「情の思想」であるか。われわれはここをしっかりと見極めなければなりません。この思い違いが終戦後、甚だしいのです。

 風情を大切にしますと、環境破壊は起こりません。人情を大切にしますと民族対立も起こりません。無論、いじめや非行はなくなるでしょう。

 日本は今、世界の未来のために忘れ去った自分自身を思い出す時ではないでしょうか。

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