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横山賢二 新聞記事


【20】共生の人間観と順応の自然観で

高知新聞 1999年(平成11年)11月23日(火曜日)

 

 今、世界の構図は右翼と左翼の二元によって成り立っています。が、私にはそれが以前からどうも少し腑(ふ)に落ちません。

 ソ連が崩壊し、自由主義諸国も行き詰まりを見せている今、われわれは早くその突破口を見つけ出さなくてはなりません。いわば第三の道をさぐるのです。自由主義、共産主義を簡単に整理することから始めます。

 まず共産主義ですが、この人間観は闘争原理といわれます。人は闘争を重ねて進歩するものと思っているようです。では自然観は、開発主義です。開発というと聞こえは良いですが、これを続けると自然が崩壊することが世紀末に実証されました。

 一方、自由主義の方はどうか。人間観は競争原理、自然観はやはり開発主義です。こう考えていきますと、両陣営とも表面上では激しい対立を見せましたが、実はその中身は「同じ穴のむじな」といった感じです。これらの原理で突き進んだがために、二十世紀は行き詰ってしまったのでしょう。

 それでは今度は、われわれ日本人自身の素直な心に問うてみます。人間観はどうか。人情の国日本では共生原理が主流です。人はお互いにお先にどうぞ、と暮らすものです。自然観はどうか。風情の国日本では四季折々の自然の情を感じながら、自然に逆らわず順応して生きるものです。先の二つの生き方とは随分違っています。これを第三の道ということにします。

 われわれ日本人は長い間、海外から文化を受け入れることにのみ専念してきました。が、今後はこの第三の道によって世界に「恩返し」ができるのではないか、とそう思うのです。

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