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2015.06.11up

岡潔講演録(15)


「秋が来ると紅葉(もみじ)

【7】 世界大戦の予想

 毛沢東、近頃ソビエット領へ発砲したでしょう。あれ私、韓国へ発砲するだろうと思ってた。そうするのが自然ですから。もしそうなってたら、アメリカと中共との戦争になる。そうするとアメリカはドル防衛のために、日本の品物なんか買えない。それで今いったとうり、日本民族は滅びる。まあ普通なら、こうなってしもう。心配してたんですそれだけは、まあ向こうへ撃ってくれた。あんなん全く個人の心理ですよ。で、そんな風でしょう。

 それなら、共産主義だけが困るのかっていいますと、自由主義諸国を見てみますと、自由貿易なるものをやってるでしょう。自由貿易っていうのは徹底的な貿易上の生存競争です。そして今イギリス、フランスが落伍しかかっています。

 これ落伍したらどうなるか。相当欧州へも共産主義色は入り込んでます。それで拡大生産やってるんです。イギリスやフランスなんて国も。拡大生産をやらんことには、銀行から借金して工場を改良しないことには、世界の各地への売込み競争に負けてしまう。だから、加速度的に生産競争をやってるんです。それが自由主義貿易です。こんな風で、英仏が落伍したらどうなるか。これは共産主義化すると思います。放って置けば。

 それで一番多い可能性は、そうするとみすみす共産主義化するということは、自国が滅びることだと政治家は思うでしょう。そうすれば、イギリス魂などというのは、自分の国が滅びるくらいなら相手も滅ぼすというのがイギリス魂。だからイギリス首相なんていうのはいち早くアメリカへとんで行く。

 そして、こんな風じゃあ英仏は共産主義化する。そうしたら西独だって共産主義化せざるを得んだろう。欧州が共産主義化すれば、これは文化が高いから世界の均衡は破れてしまう。放って置きゃあそうなる。いっそ今のうちに戦争を始めようじゃないかと説くと思う。そして、多分すると思う。

(※解説7)

 岡はこの章の終りのところで、第3次世界大戦を「そして、多分すると思う」といっているが、あの当時米ソの核戦争で人類が滅亡することを岡は既に覚悟していたし、それを回避できる可能性は万に1つもないと思っていたのである。

 しかし、1974年に至って岡は心の世界を深く深くわけ入っていった結果、遂には「最早、人類滅亡の危機は去った!!」と宣言したのである。

 これは心の世界の海底深くにある人類自滅の起爆装置のスイッチを辛うじて切ってきたからだというのである。もしそれが事実であれば、人類の歴史は全てがガラッと変わるはずである。

 そして、果して1992年にあれほど強大を誇っていたソビエト連邦が突然に崩壊し、米ソの二極対立は終焉を迎えたのである。これは私にいわせれば、岡の宣言を裏打ちする「天の配剤」という外はない。

 しかし、今日の世界を見回してみると、米ソの二極対立はなくなったが、その二極対立が違った形でいくつも生まれ、より複雑化したような気がする。それは新たな「米ロ」の対立であるし、「米中」の対立、「キリスト教とイスラム教」の対立、その他数多くの民族対立が吹き出しているのである。

 人類はいつまで経っても、この二極対立から足を洗うことができないらしい。岡のいうように人類の自滅だけは何とか止まったかのように見えるのだが、危機的な環境問題のことも考えると、これから世界は一体どうなっていくのか全くわからないのである。

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