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2015.08.13up

岡潔講演録(16)


嬰児(えいじ)に学ぶ」

【9】 日本の知識階級

 日本人でも長く大学の先生なんかしていると、西洋人に似てくる。頭頂葉の心のあることがわからなくなる。頭頂葉の心の世界というものは、まろやかなやわらかな世界です。ところが第1の心の世界っていったら、理屈張った、筋張った世界。もっと何か、化石したような世界です。

 これ、第1の念ばかり働いてると頭頂葉が化石するんだと思う。で、終戦後の日本の知識階級の言論は、化石したような理論です。少しもまろやかさも柔らかさもない。まるで化石したような化石化現象ですよ。化石化現象は老化現象ともいえます。大学問題だって、あれは老化現象、化石化現象ですよ。まるで化石してしまっている化石するん。

(※解説9)

 一体、誰に教えられて、何を考えているのかわからないのが、今の日本の知識階級である。

 この度の安倍政権の「安保法案」に反対する知識人がゾロゾロと、何と1万人も出てきたのは驚きである。まさかまだ、こんなに酷いとは思わなかった。50年前に日本を席捲していた左翼思想に、潜在的に染っているいわば「隠れキリシタン」がこの場に及んでみずから(あぶ)りだされてきたと私には見える。

 この人達は何度も説明してきたように、岡のいう「第2の心」の世界観があるなどとはつゆも思わず、西洋の「第1の心」だけが唯一の世界基準であると思ってしまっていて、ひたすら「第1の心」の世界観にしがみついているから、こういう結果になるのである。このことは「知識の量」や「肩書き」とは全然無関係である。こういう人達を岡は次のように評している。

 「頭頂葉(無私の心)どころか前頭葉(考える頭)すらダメな人は無智無能です。(自分の)生活(や命)が第1だと思う一方で、「安保」には命を賭ける気がないという矛盾を抱えた人は、側頭葉(平和憲法という標語)しか使っていません。第7識下層は『生きようとする盲目的意志』の世界です。」

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