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2015.12.26up

岡潔講演録(17)


「1969年の質疑応答」

【12】 都市大学

(岡) 都市大学をそのうち開きます。市民大学というと動かんような気がする。都市大学というと、今、日本、市単位ですから、好きなところへ持って行って開けます。これ、葦牙会に人が増えれば講師が増えますから、ほうぼうへ都市大学を作っていけます。何にしたって、今、人が欲しいんです。

 今、私と胡蘭成さんと2人いるきりですよ。井上靖さんに是非入ってもらいます。司馬遼太郎さんも、小林秀雄さんにも入ってもらう。ともかく、これという選り抜きの人を集めては、これという選り抜きの人に説き、わかったら入ってもらう。そうして増やしていけば、遅いようで早いかも知れない。そうしないと、とても3年のうちというのは間に合わない。人は実に選り抜きの人を選んで、説くのも選り抜きの人に説いて、わかったら入ってもらう。そうしていきたいのです。そして相当人が増えましたら、都市大学を沢山開くことができます。それはもう、あらゆることをしないと、何しろ時間がない。

(※解説12)

 岡の理想はこのように、いわゆる「日本哲学」にもとづいた「都市大学」を全国に開くことであった。純粋な意味で、このような大学はいまだ日本には存在しない。

 岡がこの構想を表明してから45年、残念ながらいまだにその理想は実現していないのだが、2001年よりほとんど全て絶版だった岡の著書の復刻もはじまり、現在では15冊を数えるほどにまでなっているし、既に高知では数年前より次世代の人々が集まり、月2回の勉強会も開かれている。

 岡を学ぼうとするほどの人は全国に散らばっていて、まだ横のつながりなどないに違いない。しかし、ご自分1人でも構わない、岡を学ぼうとする方は是非、私のところまでご連絡を頂きたい。

 私はそのネットワークの接点になることならできるし、そういう方々が増えていけば、いずれは岡が理想とした「都市大学」を全国に開くことができるのである。

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