(※解説13)
私は医学的知識には疎いのだが強いていえば、今医学会でガンの原因は何なのか、本当にわかっているのだろうか。医学でできることは物理的にガンを切除するか、もしくはどういう医学的処置をすれば比較的ガンが小さくなるかということまでであって、これではガンの原因がわかったことにはならないのではないかと思うのである。
つまり医学は目に見えるガンという物理現象を、多少改善の方向へ向けさせることが限度であって、これでは場当り的な対処療法といわれても仕方がないのである。
岡はそのガンの原因は何かを正面に据え、その原因は「心の世界」にあり、人だけに非常に発達した大脳前頭葉に宿る「自我意識」であるというのである。考えてみればそれもそのはずで、下等な魚類や爬虫類には自然発生のガンがあるなどとは、私は聞いたことも見たこともないのである。
今日流行の脳科学では、前頭葉には自己本位の「自我意識」が宿り、頭頂葉には「無私の心」が宿っているなどという構想は思いもよらないのであるが、岡はこの1969年にその事実を発見するに至って初めて「ガンの原因は前頭葉の自我意識にある」と言いだすのである。
ただ、このガンの原因については、後々「心の世界」から見たより精密な解明が進められていくのであって、それについてはまたの機会にご紹介したい。
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岡潔講演録(17)1969年の質疑応答
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