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2016.2.2up

岡潔講演録(17)


「1969年の質疑応答」

【17】 現世教

(質問) 先生、ちょっとお伺いします。今、ガンの話が出ましたけれども、私はある宗教をおそわってですね、ガンになって医者がどうにももう手を離したような人がですね、その集団に入って私はかくかくこうガンが治りましたと、そういう風にですね堂々と体験を発表された訳なんですが、そういうことがあり得ることなんでしょうか。

(岡) 仮にあり得ることにしろ、現世における利益を目標にしてるという意味において、そんなのは「現世教」といって間違ってる宗教とするのです。それが正しくても、それが正しくなくとも、そんなものは問わない。この70年の生涯における利益に目標を置いてたら、そこが間違ってるから間違いとするのです。ことごとく退け去らなきゃいけません

(※解説17)

 生身の体をもつ人間である以上仕方のないことかも知れないが、今は病気の悩みや人生の不遇についての相談窓口としての新興宗教が花盛りである。

 しかし、岡はそういう宗教には全く無関心で、真の宗教とは認めない。それは強いていえば、「第1の心」から生まれた「現世利益」の宗教に入るからである。

 そういう「現世利益」の宗教は岡の分際ではない。今日の人類の行き詰まりをいかに打開するか、これからの人類の進むべき道筋をいかにつけるか、人類の存亡をかけて岡はそれに全身全霊を傾けたのである。

 岡自身がいうのだが、 岡は20世紀の人類の「専属医」であって、岡がここで診断を誤ると「人類はそれっきり」とそういっているのである。その乗るか反るかの診断が非常に難しいのであって、それ以外のトリビアル(枝葉末節)にはとても手が回らないのである。

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