「1969年の質疑応答」
【30】 季節感は実感
(岡) きみ、実感て何かわかってんのか。
(質問) いや、あのうはい、済みません。そういう言葉、僕もちょっとね、言葉をうまいこと使い切れないもんですからね。
(岡) 構わんけど。実感て、わかってるんかなーと思うから。一例を挙げてごらん、何が実感だか。
(質問) はい。やっぱりあのう先生、どういうんですか、悲しいと思った時に涙が出るとか。
(岡) そんなの実感じゃない!
全然! わかってないんだから。
(質問) わかってないと思いますか。
(岡) それは感情だ。あのう、わかってやせんのにわかったと思うのが一番いけない。僕の本をわかってないとこをわかってないとして読みなさい。そしたら、わかって来ることもあるから。季節感は実感です! だから僕は「秋風が吹けば、もの悲しい」と書いたんです。あれは実感です、私の入れようがない。涙はうれしい時に出るんです! これが頭頂葉。悲しい時に出れば前頭葉。それで見わけたらいい。うれしかったら涙が出る。ところがここ(前頭葉)におったら、悲しかったら涙が出る。
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