「創造の視座」
【25】 器用さのメカニズム
また、このソニーの厚木の工場の女工さんたちの器用さは、いかなる精密機械も及ばない。小林さんは、そういっています。日本人の勤勉さというのは、第2の心がよく働くから勤勉なんだ。つまり頭がよいから勤勉なのだ、そういうことをいったわけですが、この器用さというのはどうして出るのか。
精密機械が及ばないというのだから、無心に働くと第2の心に住することになる。第2の心に住しますと四智が働く。その中で妙観察智というのが働く。これは部分と全体の関係です。
だから自分というものの、つまり今自分がどの位置にいるという、そういう位置を示す自分という言葉がありますが、妙観察智が働くとその位置に身を置いて働くことができる。
ところで、その際自分というものを幾つにも別つことができる。で、理論上第2の心の世界に住すれば、妙観察智を働かし自分を10に別つ、そうしてその各々が各指のつけ根、10人の自分が各指のつけ根におって指を働かす。そういうことができるわけです。そういうことができると華厳経-これは妙観察智のことを詳しく書いてありますが-にいっている。
ところで、いかなる精密機械も及ばないというくらい精巧だとしますと、ほんとうに各指のつけ根に自分を置いて、そして指を働かしているんでしょう。女工さんはそうだとは意識しませんが、各指のつけ根に1人ずつ自分がいて指を働かすというような、そういう働かし方をしているんでしょう。
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