「創造の視座」
【26】 頭脳のタイプ
日本は終戦後、ひどい物質的荒廃の中から立直った。今や総生産世界第2位といわれている。これは主として何によるのかというと、その一番おもな理由は日本人の勤勉さによるものだと思う。それから日本人の器用さというのもよほど働いていると思う。これはみな頭頂葉という頭がよいからできるのであって、前頭葉という頭がよいということではない。
頭がよいというのは、前頭葉という頭がよいことだと明治以後だんだん思われるようになっていますが、ほんとうに頭がよいというのは頭頂葉の発育がよいということです。ほんとうに頭がよいから働けば無心になれる。それで勤勉でもあれば器用さも出るのだ。そういうことを知ってもらいたいと思うのです。
大体西洋は頭がよいといえば前頭葉がよいということ、明治以後はそういう頭のよさが頭がよいということになっている。それまでは頭頂葉がよかった。それで心眼なんかがよく働いた。明治維新までの人物といえば吉田松陰とか西郷隆盛とか坂本竜馬とか、いずれも頭頂葉の発達している人が頭がよいとされ、上に立っていた。
ところが明治以後は伊東博文とか山縣有朋とか、または近ごろに至っては東条英機とか、こういうのは前頭葉タイプです。吉田松陰とか西郷隆盛とか坂本竜馬とかいうのが頭頂葉タイプ。
伊東博文とか山縣有朋とか、特に典型的なものは東条英機などというのが前頭葉タイプ。
そんなふうに頭がよいというのは、前頭葉がよく働くことだとだんだん思うようになってきている。そのため勤勉であったり、器用であったりすれば頭が悪いのだ、こういうふうにいわれることになっていた。
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