「創造の視座」
【34】 天つ神と国つ神
そんなふうで第2段の目覚めを目覚めると実にこんなふうになる。ともかく日本人は目覚めるときは2段に目覚める。最初は喜びに目覚める。次は懐かしさに目覚める。喜びは天照大御神のお光、なつかしさは天の月読の尊のお光、こう思える。
この日本の神ですが、神々というのは心の底から働きかける。それから日本の赤ん坊を育て、日本人を目覚めさせていく。これが天つ神、ときどきは人になって生まれてくる。岩村さんなんていうのも天つ神ですね。そして行為によって感銘させたり、言葉によって教えたりする。
それから日本の自然が春夏秋冬、晴曇雨風、千変万化の趣の変化があって美しいのは国つ神々の働きである。そういうことになっています。伊勢神宮の外宮には、当然天の月読の尊をお祀りしなければなりません。
元禄のころの伊勢神宮のあり方を、蕉門の人たちの連句から拾ってみますと、「春めくや人さまざまの伊勢まいり」「参宮といえば盗みも許しけり」こんなふうですね。だから、ただ伊勢神宮に慕い寄るというふうだったらしい。
で、日本人の赤ん坊が懐かしさと喜びの世界に住んでいるのも、日本人がだんだん喜びと懐かしさに目覚めていくのも、天つ神々の働きである。自然の風物がすばらしいのは国つ神々の働きである。そう思っておればよいわけですね。
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