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2016.06.22up

岡潔講演録(18)


「創造の視座」

【34】 天つ神と国つ神

 そんなふうで第2段の目覚めを目覚めると実にこんなふうになる。ともかく日本人は目覚めるときは2段に目覚める。最初は喜びに目覚める。次は懐かしさに目覚める。喜びは天照大御神のお光、なつかしさは天の月読の尊のお光、こう思える。

 この日本の神ですが、神々というのは心の底から働きかける。それから日本の赤ん坊を育て、日本人を目覚めさせていく。これが天つ神、ときどきは人になって生まれてくる。岩村さんなんていうのも天つ神ですね。そして行為によって感銘させたり、言葉によって教えたりする。

 それから日本の自然が春夏秋冬、晴曇雨風、千変万化の趣の変化があって美しいのは国つ神々の働きである。そういうことになっています。伊勢神宮の外宮には、当然天の月読の尊をお祀りしなければなりません。

 元禄のころの伊勢神宮のあり方を、蕉門の人たちの連句から拾ってみますと、「春めくや人さまざまの伊勢まいり」「参宮といえば盗みも許しけり」こんなふうですね。だから、ただ伊勢神宮に慕い寄るというふうだったらしい。

 で、日本人の赤ん坊が懐かしさと喜びの世界に住んでいるのも、日本人がだんだん喜びと懐かしさに目覚めていくのも、天つ神々の働きである。自然の風物がすばらしいのは国つ神々の働きである。そう思っておればよいわけですね。

(※解説34)

 先に坂本龍馬は国つ神、岡潔は天つ神と私はいったのだが、少し角度を変えてみれば、こういう見方もあるのである。

 日本の自然の風物がすばらしいのは「国つ神」の働きである。それについては、日本民族がこの地球上へ渡ってくる前の60万年前から、神々は先を見越し日本民族の教育の仕上げの場として、この繊細優美な日本の自然を準備しはじめたのだと岡はいっている。

 また一方、日本人を心の底から働きかけて、次第に目覚めさせていくのは「天つ神」の働きである。その1つの証拠が日本人の赤ん坊の「心の世界」であって、我々は少なくとも30万年の歳月をかけて赤ん坊の「心の世界」に、第10識「真情の世界」という「懐かしさと喜びの世界」を確かに定着させてきたのである。

 特に今はその蓄積をもとに、急速に日本人が目覚めはじめている時であり、そのことを岡は「今は日本民族の自覚時代だ」というのである。

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