b 岡潔講演録(20):【 8】 生命現象
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2016.09.18up

岡潔講演録(20)


「1971年度京都産業大学講義録第6回」

【8】 生命現象

 もう一つは、6つの目、五感と理性、簡単に理性と云いますが、本当は大脳前頭葉と云う目ですね。この6つの目で時間空間という枠の中をいくら丁寧に、いくら時間をかけて調べても、『生命現象』というもののかけらもわかって来ない。これを教えた。

 これは4、5百年かかって、非常に手間をかけた。実際やってみたところ、人はなぜ見えるのか、なぜ立てるのかと、そう云う生命現象のいろはである知覚運動についても、全然わかって来ないということが実証された。もう大抵これで凡夫もわかるだろう。本当に大事なものはこんな中にはないのだ、ということを。

 東洋の大先達は、そればかり教えたと云ってよろしい。だのにどーしても馬鹿なことを止めないこれ、馬鹿なことをしたら無駄じゃありませんよ、自滅なん

 だから非常に人類にとって大きな功績のあることを西洋人はしたのですが、西洋人自身は自分のしたことに少しも気が付かない。何をしたのか全然気付かずにいる。こういうもんです。それがわかったら、今後は学問とは西洋の云うような内容のものでは有り得ない。言葉を全然変えなきゃいけない。

(※解説8)

 今まで自然科学と生命現象の関係については度々言及してきたところではあるが、ここでも岡は生命現象については今の自然科学では決して説明できないというのである。つまり、「物質」によって生命現象を説明しようとしても、初めから無理だといいたいのである。

 それよりも、ここでは岡の2つの言葉が注目をひく。1つは「馬鹿なことをしたら無駄じゃありませんよ、自滅なん」と、もう1つは「西洋人自身は自分のしたことに少しも気がつかない」である。

 我々が汲々として必死についていっている西洋の「科学」を、偏見にとらわれずこれほど広い視野から批判しえた人は、人類の中でも岡潔1人ではないだろうか。真の「生命科学」は岡潔を原点として、21世紀以降の日本において花開くのである。

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