「1971年度京都産業大学講義録第16回」
【2】 本当の個性とは
個性が大事、個性が大事と今の教育云います。しかし個性と云うのはひと一人一人違うと云うことでしょう。人の個人差ですね、個人の特徴ですね。
何度も云いました通り、わたしならわたしと云うのは、あなた方も同じですが、大宇宙という木の、人類という枝の、日本人という小枝についている一枚の葉のようなもの。わたしと云うのは、このからだとか、この心、心理学の対象である心、そういうのをわたしと云うのです。それはこういうものに付いている一枚の葉のようなもの。いつもこう云ってますね。
個性と云ってるのは、人類の一人一人がみな違うといってるんでしょう。そうですね。その前に、人類であるということがあるでしょう。人類であると云うことは、やはり個性のようなもので、他の動物あるいは植物であるということとは違ってるでしょう。そうすると個性、個性と云ってるのは、大きな個性の小さな枝の、まあこの個性ですね。人類であるというのもこっちで決まる。大宇宙の枝の人類であると、こんなふうになって来て、そして葉があるんでしょう。個性って云うのは、本当はここにある。
大宇宙という木がある、人類という枝がある、日本人という小枝の葉であるというのが我々でしょう。そしてここに個性があると云ってるんでしょう。その個性は染色体でここから伝わると云ってるんでしょう。そしたらこの残りの部分はどうなる?何が表わす?
人は個性を持つ前に、人の心というものを持ってる。これはどうして伝わる?人の心あってこその個性でしょう。人の心なしに、だしぬけに個性有るということは有り得ませんね。だいたい個性とはどんなものか、わかりゃしない。どういう個性が尊ぶべきものか、わかりゃしない。これが今の自然科学なん。個性の尊ぶべきを知って、人の心のより尊ぶべきを知らない。
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