(※解説7)
岡はここで人の子が生まれて3月は「心の世界」だといっている。これまで岡は主に仏教のいうように第9識「真如」が心の奥底だと考えてきたのだが、東洋の仏教や儒教は知を優先していることに気づいたことや、原理として情が知に優先することを確認したこと、そして決定的なのは孫の始の「生い立ち」、特に生まれて3ヶ月を観察することによって、確かにその奥に心の層があることを既にこの辺で気づいているのである。
しかし、その心の層が仏教のいう第9識「真如」であるか、それとも更に深い未知の心の層かを最終的に決定するのは大変な問題であって、岡は人類に先駆けてただ1人それに挑戦していったのである。
もしもそれが決定できなければ、秒読みに入った人類の自滅を止める思想も生まれなかった訳だし、ひいては人類の未来図も正確には描けないのであるから、それを決定するために岡の孤独な思索はまだまだ続いたのである。
Back
Next
岡潔講演録(23)1971年度京都産業大学講義録第23回 topへ
岡潔講演録 topへ
|