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2017.02.18up

岡潔講演録(24)


「情の発見」

【5】 情の特色

 情は分かつべからざる全体である。やはり部分として分かつべからざる全体である。無量のそういう部分がある。情の中には時間も空間もありません。時はありますが時間という計量的なものは無い。また、空間は量的に質的にありませんが、時については2種類、2つですね。過去と現在、それだけですが、新しい現在が古い現在に変わる。その古い現在が過去になっていくということは限りなく繰り返される。そういう意味で未来は無い。

 2つの情は合一して1つにすることが出来る。これが情の特色。こんなことが出来るのは情だけである。知や意の入った心だったら、これは出来ません。知や意を合わすということは出来ない。情の場合は内容が同じでなくても、情を合一することが出来る。そうすれば内容が自ずから融合する。これが情の特色。合一出来るのは情だからです。

(※解説5)

 ここでは情の融合、つまり情が溶け合うことをいっている。知や意は融合することが難しい。岡によればそれはできないことではないが、仏教の修行の例などから、それには非常な意志力がいる。いわゆる難行苦行すれば、ある程度その力はつく。

 しかし、情は力などを使わなくても融合するのである。むしろ力などを排除して、情が純粋になればなる程それは可能である。どうしてかというと、情のみが透明な液体だからである。

 心の要素の中では、知は強いていえば結晶体であり、意は更に固い固体という気がする。だから両者とも融合は難しいのである。

 また、ここで重要なのは、「情の場合は内容が同じでなくとも、情を合一することが出来る」といっているところであって、私も経験があるのだが、日本人の心はこういう方式で繋がっていくのではないかと思うのである。情はたとえ情の内容が違っていても融合できるのである。

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