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2017.07.19up

岡潔講演録(27)


「情の構造」

【13】 心の濁りを一掃する

 それで、どうすればいいかですが、今日本の国の心はひどく濁っている。まあ、終戦後、エゴイズムという濁りでひどく濁っている。これが一番目につくんですが、その他仔細に見れば、いろんな濁りがずっとはいっている。だいたい真情の世界を出て以後、物質的濁りだと知ったら、どれくらい濁っているかわかるでしょう。特に応神天皇以後、儒教や仏教でたっぷりおかしな色に染められたのが悪かった。こんなん、みな取ってしまわなきゃいけない。

 で、心の濁りを一掃するのが大事で急を要する。これをやらなきゃ始まらない。そうしようと思ったら、教育はあまり濁った心の日本人が大きくなっていかないように、その点だけ十分注意してくれたら、あとは70年も放っておけば、人は自づから入れ替りますから、国の心の濁りはだいたいきれいに取れてしまう。

 近頃の濁り、明治以後の物質主義、終戦後のエゴイズムというようなものが取れるだけじゃなくて、応神天皇以後の濁りがきれいに取れてしまう。あれ、出世主義とでも云いますか、あんなものみな取れてしまう。それを一偏やらなきゃ。応神天皇以前にかえさなきゃ。歌を詠ませば、誰でもみな柿本人麻呂のような歌が詠めるように一度したい。そう思っている。

(※解説13)

 岡は日本の間違いは、アメリカから「エゴイズム」 ― 今トランプ大統領が実演中である ― が入ってきた終戦後ばかりではない、西洋から第1の心の自我の人間観、自然観が入ってきた明治以後、更には我々には仲々気づかないが、東洋から第2の心のなかの不完全な「知と意」が入ってきた応神天皇の頃から始まっているというのである。

 心の根底が第10識「真情」だと気づいた岡は、心を変えるとはその「情」の濁りを取り去ることという、日本人であれば誰でもわかるはずの原理を発見したのである。我々は当面その目標1本にしぼって、社会を変革していけばよいのである。ただし、それには岡がいうように、100年や200年はかかることも覚悟しなければならないが。

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