「岡潔先生と語る 」(3)- 西洋の真似はやめよ -
【4】 はじめに(4)西洋の真似はやめよ
で、唯物主義が間違いで、それが小我を自分と思う間違い、これを個人主義と云うのですが、これを呼んでいる。また、唯物主義がもとで個人主義も無神論も出てきている。神、仏は居ないという、無神論ですが、これを呼んでいる。で、これが大変な間違い。
とりわけ西洋は個人主義が正しいとしか思えない。それで政治をこの上に組み立てている。アメリカは民主主義が良いと云い、ソビエットは共産主義が良いと云う。共に個人主義を正しいとしてのことです。
ところが個人主義は間違いであって、本当は人は真我ですね。だから人は心の深いところでは、自然とも合一している、他の人々とも合一している。すっかり合一してしまっている。それから浅いところでは個々別々になっている。だから根底は全体であって、その基盤の上の個人というのが人です。
それで人本然の心は、自然を見れば自然が懐かしく、人を見れば人が懐かしい。これが人本然の姿であって、人類の文化はこの基盤の上に建てなければいけない。だから一切やり変えてしもうべきです。西洋の知識のうちには、残して役に立つ部分もありますが、それはみな正しい基盤が出来てからのことです。
日本は速やかに西洋の知識を鵜呑みにすることをやめなければいけない。これを説いて回ってるんですが、なかなか納得してくれない。それで座談形式にして一々お答えしよう。また、それがそうならば、それを受け入れたら、あとはどこがどう変わっていくかというふうなこと、座談形式でお答えしよう、そう思うのです。
(司会)どうもありがとうございました。
それでは先生にお話しして頂きまして雰囲気の出来ましたところで、皆様からご質問をお受けして座談形式でやって行きたいと思います。大変原理的なお話をして頂いた訳ですが、時間もたっぷりございますので、納得のいくまで掘り下げてお聞き頂きたいと思います。
(岡)こんなわかりきったことであり、これほど基礎的な問題である。それがこんなに云ったり、書いてもおりますが、してるのにわからんというのはどういう訳だろうと思うんですが、非常に基礎的なこと!ここ決めなきゃなんにも決められない。
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