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2023.08.20up

岡潔講演録(31)


「岡潔先生と語る 」(3)- 西洋の真似はやめよ -

【15】 末法の世とは

 (男性)「末法思想」について、先生はどう思われますか。

 (岡)どういう意味ですか。末法思想という言葉についてですか。

 (男性)平安末期にそういう思想が起こったことに対して、仏教的立場から・・・

 (岡)今の日本の状態についてならば、このままでは滅びるだろうと思う。

 (男性)仏教的立場からはどうお考えですか。

 (岡)仏教には末法という言葉があるようですが、今の状態は末法と云えますが、こういうことを意味してたかどうか、わかりません。釈尊、西洋思想というものが将来盛んになるということは見抜いていなかったでしょう。知らなかっただろうと思う。唯物主義ですからね。唯物主義が末法の世を生んでと、そんなふうに説明されたということは聞いたことがありません。西洋人のような極端な唯物主義者がこんなに居て、そして第一の心がよく働く、それでいながら理性は非常によく働くということは、実際見てみなければ、経験してみなければ、わからないだろうと思う。釈尊でもわかるまいと思います。

 (男性)唯物的立場からそういう思想が起こって来たと云うことですか。

 (岡)えー、どうもあまりおわかりにならんようですね。

 (岡)時間、空間というものは存在するんじゃない。存在すると思ってる。時間、空間というものが実在するということを証明出来ると思ってる大数学者は最早一人もいない。西洋でもそこまで来てる。存在するということは証明出来ない。だけど映像だとは思えないんですね。人生というものは時間、空間という絵具を使ってかいた絵ですよ。この絵具が無ければ、人生という絵はかけません。しかし人生の内容ではなくって、情緒を表現する為の手段です。

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