(※解説19)
ここもちょっとおもしろい所なので拾い出してみました。岡は数学で使う頭は前頭葉だというのですが、日本人はその前頭葉の発達が西洋人に比べて大分遅れているらしい。「独創性」の働く前頭葉を使うはずの科学者の中でも、前頭葉を使わずに側頭葉の「工夫考案」ぐらいで済ましてしまう人が可成りあるようです。
逆に、日本人の特徴としては、日本人は心の世界が深い(第10識、情の世界)のであって、後頭葉の「情緒の世界」である和歌や俳句を昔からたしなんできた民族には、大脳前頭葉の発達が遅れているのは無理もないのかも知れない。
岡自身も前頭葉は西洋人に比べれば、そのタフな強靭さにおいて遥かに劣ると自ら認めるものの、要はその使い方が大事だというのです。それには先ず何よりも「大和ごころ」を持つこと、つまり日本人としての自覚のあるなしが非常に影響するという。
次に野球でいえば、重いバットを振り回すのではなく、軽いバットでタイミングよく振り切ること、つまり前頭葉をうまく使いこなせといっている。
ともあれ岡にいわせれば、日本人は心の世界において20万年は西洋の先を行っているのですが、逆に前頭葉の発達は2千年西洋に遅れをとっているのであって、その二面性が日本人の掴みどころのない長谷川如是閑が指摘する「両極性と多様性」として現れていて、岡が「日本人は白痴だ‼」というのは、そのもどかしさの発露なのです。
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