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 2013.7.27up

岡潔講演録(7)


岡潔「岡の大脳生理」の解説

横山 賢二

はじめに

 無論、私は最先端の脳科学の専門家ではありませんが、岡潔先生独特の大脳生理を自分なりに学んできた者として、今回はその「岡の大脳生理」について解説してみたいと思います。

 現在のいわゆる脳科学といわれるものは、大脳を分析的に「外から」見て物理的な実証性のみを追求することが大前提となっていまして、私はその辺に今日の脳科学の限界が露呈していると思うのですが、一方の「岡の大脳生理」では逆に人や心というものを大脳の「内から」見ることによって有機的総合的に解明を進めていった、私の見るところ世界では唯一の非常にユニークなものと思うのです。

 こういうと「それは岡の独断に終わってしまっているのではないか」と思われる方があるかも知れませんが、そのような心配はありません。岡は当時の日本の大脳生理の権威であり、岩波新書「脳の話」の著者でもある東京大学の時実利彦(ときざねとしひこ)先生と親交をむすび、当時の最先端の大脳生理の情報をもとにして、更にその上に岡独自に脳の解明を進めていっているのです。

 ですから両者が対談を重ねるに従って、逆に時実先生の方が岡にお伺いを立てるようになり、遂にはその立場が全く逆転するのです。時実先生にすればその対談は、医学実験では得られない大脳機能の情報が、岡から得られる貴重な機会であったということでしょう。因みに、時実、岡対談は「人間に還れ」と「教育の原理」の2つが残っています。

目次(下の項目をクリックしてお読み下さい)

【 1】 脳構造の略図

【 2】 すみれの言葉(1)

【 3】 独創とは何か

【 4】 生命

【 5】 幼児と脳のはなし

【 6】 アメリカ式教育をおそれる

【 7】 側頭葉教育

【 8】 すみれの言葉(2)

【 9】 人の座ー前頭葉

【10】 教育の原理

【11】 人とは何か

【12】 秋が来ると紅葉(要約)

【13】 創造の視座

【14】 京都産業大学講義録

【15】 市民大学東京校

 

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